「名ばかり管理職問題」について
管理監督者の範囲とは…
平成20年(2008年)1月のファーストフードチェーン事件で、あらためて表面化した「管理監督者」の範囲の問題で、同様な判断により割増賃金の遡及払いを命じられる企業が急増し、社会問題化しています。
そこで厚生労働省は、平成20年4月1日付にて各都道府県労働局長宛に通達を発しました。
企業内の「管理職」と労働基準法上の「管理監督者」は異なる!
労基法には管理監督者の詳細な定義はありませんが、解釈は次のとおりです。
- 経営方針など経営に関する重要事項の決定に参画する権限を有しているか、または労務管理に関する指揮監督権限のいずれかを有していること。
- 出退勤・欠勤などについて管理をされず、自己の勤務形態について自由裁量を有し、労働時間等の規制になじまない立場にいること。
- 賃金・賞与・退職金などの待遇面で、優遇待遇が講じられていること。
名ばかり管理職問題の対応策
現実のところ中小企業における「管理職」は、労働基準法でいうところの「管理監督者」にはあたらないケースのほうが圧倒的に多いものと思われます。
それではどうしたらいいのか?
言われるがまま残業代を支払えばいいのか?
そういう問題ではなく、解決するための考え方には次の2つの手法があります。
労働基準法上の「管理監督者」として改善する方法
「管理監督者」の「3つの解釈」の条件を満たすように、労働条件等を改善して、労働基準法上の「管理監督者」に該当するように労働条件を改善する方法です。
具体的に見てみましょう!- 権限については規程類において「管理職職務規程」などを作成した上で、「重要な経営に関する会議への参加や同会議での決議権の付与」、「管理職には出退勤において自由裁量があること」などを定義して、明記しておくことが必要です。
- 「実態の残業時間に相当する部分を役職手当等の額を改善し、トータル年収が部下と逆転することのないよう手当水準を向上させる」ことなどが効果的な対策です。
-
労働基準法上の「管理監督者」として見ないで、企業内の「管理職」とする方法
それぞれの企業内では「管理職」としての身分を有し、労働基準法上の「管理監督者」とは違うものとする方法です。
具体的に見てみましょう!- この企業内管理職の処遇のポイントですが、一般社員と同じく「残業手当や休日出勤手当等を支給すること」です。
そこで一般社員と同様の賃金の支払を行うのが原則となりますが、社内的に一般社員と差別化をはかり、管理職であることを強調したいなら、これまでの「管理職手当」を「特別職能手当」などの名称に変更し、定額の固定残業制を導入する方法などが考えられます。
但し、この制度を導入する場合には、必ず就業規則などで、「特別職能手当」が残業手当(時間数)を含むものである旨を記載しておくことが必要となります。
※記載例
「特別職能手当」は、残業手当(30時間)、休日出勤手当(8時間)相当分の内払いとする。ただし、実際の残業・休日出勤等が特別職能手当の相当時間を超える場合は、その差額を別途支給するものとする。
- この企業内管理職の処遇のポイントですが、一般社員と同じく「残業手当や休日出勤手当等を支給すること」です。
今後「名ばかり管理職」についての労働基準監督署の調査指導はますます強化されますので、もしも御社内で不適切と思われる処遇があるのであれば、今のうちに何らかの方法で改善されることをお勧めいたします。
そこで、私共では御社の管理職が、労働基準法上の管理監督者の範囲であるか否か?
また、管理監督者といえない場合の対応策を講ずるサービスを提供しております。
- 詳しくはこちら → 名ばかり管理職チェックサービス
- 社会保険労務士に相談してみる → 無料相談はこちらから